ミャンマー(ヤンゴン)情報 2025年9月報

2025.9.17 未分類

2025年9月17日


お得意様 各位


『ミャンマー(ヤンゴン)情報』2025年9月報


《2021年1月に勃発した軍事クーデター以降、ミャンマー情勢をお気にかけられている
方々から現状のお問合せを頂いております。ヤンゴン在住の社員からのレポートを基に、
2ヵ月毎に現況報告をさせて頂いています。 お時間がお有りでしたら、お読み下さいませ。》


ミャンマーチーク販売株式会社
代表取締役 臼井 成美 


 残暑も和らぎ過ごし易い日々になりました。如何お過ごしでしょうか?
石破総理が退陣し、新政権が発足する事になりました。楽しみでもあり、不安でも有りますが!世界の政情が不安定で流動的なおり、リーダーシップが発揮出来る方の出現を期待したいものです。
 さて、ミャンマー軍事政権は4年前のクーデタ―に伴って発令した『非常事態宣言』を7月31日に解除し、暫定政府として『National Defance and Security Council(NDSC-国防治安評議会)』を設置しました。
軍事政権のトップである『Min aung Hlaing-ミン・アウン・フライ』が大統領代行になっています。
 ミン・アウン・フライ大統領代行は12月に民政移管に向けた総選挙を行うと発表しました。
2021年のクーデタ―は、2020年に実施された総選挙に不正が有ったと主張して軍が蜂起し、民主化運動の指導者アウン・サン・スー・チー女史を拘束し、軍が実権を握り、民主派武装勢力と紛争を繰り返し、今日に至っています。
 一方、国民民主連盟(NLD)は、軍が一方的に実施を目指す総選挙を『偽装選挙であり正当性が認められなく、国内の対立を深刻化させるだけだ!』と強く反発しており、協力は出来ないと表明しています。
 現在、ラカイン州やシャン州、ザガイン州等地方都市の多くでは、国軍と民主派武装勢力との激しい戦闘が続いており、選挙が実現するかは不透明です。
 国民民主派は軍の攻撃により、8月末迄に、民主派勢力の兵士や一般市民の死者が5,700余人が死亡し、住宅850余棟が不当に没収されていると発表しています。


【為替の動向】
ミャンマーでは毎年9月から12月迄は商業省の仕事量が減る時期なので、us$の需要が減り、us$が安くなり、ミャンマーチャットが高くなる傾向があります。
今年は軍政府がタイとの国境(第二友好橋)を閉鎖した事により、国境貿易によるus$の需要が減った為 8月中旬から少しづつ下ってきています。
ヤンゴン市内の両替商は8月25日現在、1us$は4,200チャットのレートになっていると申しています。(闇価格)
1us$が4,200チャットであれば0,036円/チャットになります。(150円/us$の場合)


【ミャンマー・タイ第二友好橋が閉鎖、物価高騰】
ミャンマー東部のカイン州ミャワディとタイ北西部ターク県のメーソートを結ぶ『ミャンマー・タイ第二友好橋』が8月18日早朝から閉鎖されました。
ミャワディとメーソートはミャンマー人の出稼ぎが最も多く出入国する国境検問所です。
ミャンマー側(軍政府)の一方的な処置です。
タイからミャンマーに生活物資を運ぶトラックが500余台も立ち往生しています。
この為、タイから生活物資の輸入が滞り、タイ製品の価格が以前の約2倍にが高騰し、市民生活に深刻な影響が出ています。
タイ製品の高騰で代替品としてミャンマー国産材の需要が高まっており、国産材が流通するチャンスになるのでしょうか?
ガソリン価格は5,000チャット/リッターでしたが検問所が閉鎖され、2倍の10,000チャット/リッターに急騰しています。
現地商人は国境検問所は間もなく再開される見込みですが、今後は自由貿易ではなく、ライセンスや税負担が
必要になるでしょう?』と指摘しています。民主派勢力に対する軍政府の嫌がらせと言われています。


【首都ネピドーのホテル事情】
3月28日に発生した大地震で首都ネピドーのホテルは3棟が倒壊する等大きな被害を受けましたが、8月20日現在、42%以上が営業を再開したと観光省が発表しました。
63のホテルが『エンジニア協会の認証を受けた技術者のよる安全検査を受け、安全が保証された』との事。
ネピドーには102軒のホテル在り、現在、1,600人が宿泊しています。


【インレー湖周辺住民の支援ー日本のNGO】
地震で大きな被害を受けたインレー湖周辺地域の住民に対し、損壊した公共施設や学校等の復興再建を進めると共に地域住民を復旧工事に雇用し、現金収入の機会を提供するプロジェクトを日本のNGOと国際労働機関(ILO)のミャンマー事務所が実施して、大いに感謝されています。


【中国政府が軍政を支持】
8月19日、中国外務省はミャンマー軍政が12月28日に実施すると発表した総選挙について『ミャンマーの内政問題』と述べましたが、選挙に必要な機材の提供や運営技術者の派遣をする準備をしており、民主派少数武装組織に、奪還した地域を軍政に引き渡すよう圧力をかけていると言われています。


【日本企業の求人-技能実習生】
在日ミャンマー大使館は8月20日、日本企業360余社からミャンマー人労働者を採用する為,求人票(Demand Latter)の提出が有ったと発表しました。内訳は男性315人・女性1,200人でした。


【出稼ぎ】
タイとカンボジアの紛争でカンボジアに戻ったカンボジア人労働者の代わりに、ミャンマー人難民42,000人を使用するとタイ労働省が発表しました。
タイ政府はミャンマー国内紛争により、増え続けるミャンマー人難民が正式にタイ国内で仕事が出来るように検討していると話しています。


※ちょっと、ブレイク


【コーヒー】
 ミャンマーにはブルーマウンテンに似た美味しいコーヒーが有ります。
寒暖差が激しい(昼は38度になり,夜は氷点下になる)北東部のシャン州やカレン州で栽培されているコーヒーです。
寒さから、身を守ろうとコーヒーチェリー(コーヒー実)が水分を減らし、糖分を増やします。
冬野菜が寒さで氷らないよう細胞に糖分を蓄積する為、甘さの多い野菜に生育するのと同じ原理です。
 ミャンマーコーヒーは浅煎りや中煎りでは『お茶のようなさっぱりとした口当たりで、フルーティなチェリーのような酸味と苦み』が味わえます。
深煎りでは『チョコレートのような濃厚な香りとワイルドな風味』が味わえます。
ミャンマー(旧ビルマ)は永く英国の植民地でしたので紅茶文化の国です。
隣国インドのダージリンと同じような気候風土の地域で生産された紅茶が世界に輸出されています。
亜熱帯気候の肥沃な土壌で栽培されたコーヒーもやがて世界のコーヒー通に歓迎される日が来るでしょう。
*8月26日に日本青年会議所愛知ブロックがミャンマー青年会議所と連携しミャンマー産コーヒーを国際市場で販売する取り組みを開始しました。
 先ずは日本に輸入し普及を図りたいとの事です。ミャンマー経済の発展や外貨収入の拡大、地域社会での雇用創出に寄与出来るようになればと願います。


【アボガド】
ミャンマー産のアボカドが今年初めて、タイとシンガポールに輸出されました。
ミャンマーのアボカドは、シンガポールで売られているアボカドより大きく、1.5倍の大きさ(3kg/個)の物が多く、輸出拡大が見込まれています。
ミャンマーアボカドの主な生産地はシャン州南部・北部や、マンダレー管区のピンウールィン市周辺です。
今後、インド・ロシア、中東諸国への輸出拡大を計っています。
*ヤンゴン市内のNight-Marketの風景です。野菜・果物が多種・大量に売られています。*18時頃撮

生鮮野菜・果物が豊富です。        玉子が7個で3,000チャット(108円)と表示されています


【ガソリン価格の動向】
7月の調査ではレギュラーガソリンは3,000チャット/リッターでしたが、8月下旬には2,955チャット/リッター(106.4円/リッター)になっています。


【お米の価格】
7月頃と同じ価格です。最上級のお米(Paw San Mhwe)が5,200チャット≒186円/kg,でした。930円/5kgです。


【食用油の価格】
主に家庭で使用するピーナッツ油が20,000チャット/Viss(1.65kg)≒430円/kg, 業務用のパーム油は240円/kgです。


【鶏卵の価格】
7月後半から非常に多く出荷されています。スーパーマーケットでは中サイズが1個450チャット(17円)ですが市中の市場では1個15円程度で売られています。


【ヤンゴン市内で日本企業が請負っている建設P/Jの動向】
ヤンゴン市内で稼働している建築工事は大成建設㈱の『新専門病院新築工事』のみです。最重要プロジェクトであるので、厚生省のサポートの下、進捗しています。
市内の他の案件はクーデター以降、中断したままになっています。
モン州にJICA援助資金で建設中の橋梁工事現場が有ります。この工事は進行中との事です。


【その他】
海外輸入の日用品や薬等は少しずつ値上がりしています。幸いに、9月の現時点では、お米や食用油と鶏卵は7月と変わりが有りません。
物価上昇は抑えられていますが国民生活は厳しく、強盗や泥棒の侵入と引ったくり等の犯罪が日に日に増えています。
国内紛争の行方も不安ですが、市内の日常生活も不安な日々になっています。


【※チーク材の国内需要状況と現地ヤンゴン工場の供給体制】


【輸入・手続きについて】
地震の影響でネピードの政府機関のPCにトラブルが発生し、輸出許可書の発行の遅れにより、コンテナ船のヤンゴン港 出港が3週間遅れましたが、今は回復しています。
ヤンゴン港を出港した船舶はマレーシアのポートケランか、シンガポール港で日本向けの外航用大型コンテナ船に積み替えをします。
MTH53便はポートケランで積み替えをしましたが、イスラエル紛争の余波で貨物が集まらず。
空のコンテナで港が一杯になり。荷役作業に混乱を招きました。
スムーズに積み替え作業が出来れば、ヤンゴン港出港後3週間前後で東京港或いは名古屋港に入港します。


【新規発注】
新規に発注頂いた多くの案件は年末から年明けにご使用(施工)になられる予定です。10月中旬にヤンゴン港を出港させ、11月中旬に名古屋に入港させる予定で発注しました。
発注総額はus$110,000(≒1,650万円)です。
建築資材の高騰により、躯体建築費が予算オーバーになり、仕上げ材を見直し、廉価な製品にグレードダウンされるお客様も居られますが、チーク材を選ばれた方々はチーク材を変更される方は少ないようです。
当初の製品が継ぎ目の有るUNI材であったのを、継ぎ無し一枚材(OPC)に、グレードアップされるケースが増えています。
最近は品番2の『T15×W120×L1,820mm ・OPC』をリクエストされる方が増えています。
次船『MTH-55船、積載製品』は、11月上旬に発注し、2月下旬に名古屋港に着ける予定です。
  【※MTH55船への積載受付は10月20日頃迄行っていますので、何なりとご相談頂きますようお願い申し上げます。

  【※ヤンゴン工場の稼働状況です。MTH54 で発注したフローリングや階段部材の生産に着手しています。

ヤンゴン工場加工場

原板加工風景(仕上がりT15=木取りT19mm)

原板プレーナー加工

フローリング実加工

ページトップへ